いちご畑

ケアと思考と日常について

ホームヘルパーと利用者の適切な距離感とは

ホームヘルパーは名前の通り、介護を必要とする方の自宅に入り、身体に関することや日常生活などの介助を行う者である。

家の中に長時間いるだけでなく、利用者さんの生活ぶりや言動、人となりを間近で感じ、家の中の隅々まで把握する。つまりは家の一員となる訳だが、ホームヘルパーはあくまで他人であって家族ではない。もちろん友人でもない。

家族よりも一緒にいる時間が長く、友人より多くのことを把握しているかもしれないが、やはり他人なのである。

 

ホームヘルパーは、専門職である他人として、利用者さんと関わるのである。

これは頭でわかっていても、実際に介護の現場にいるとつい忘れがちなことである。

ケアプランで定められた範囲内の仕事を超えたり、利用者さんや家族と個人的に連絡先を交換するようこともある。

こういったことはなにも、ヘルパーが好き勝手にしている訳ではなく、仕事のためにやむを得ず行っているのである。

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ヘルパーが行う介護の範囲はケアプランによって定められているが、現場ではその範囲を超える仕事が発生することがある。

たとえば、利用者さんが使用するシャンプーや洗剤、綿棒やガーゼといった消耗品が無くなりそうなとき。家族にそれを買ってきてもらうよりヘルパーが買ってくる方が早い場合は、ヘルパーが買ってくることになる。

ヘルパーが担当時間内に買える場合もあれば、担当時間より前に買ってきて、その足で現場に入ることもある。

このような場合でも早出残業代が出ることはない。

ヘルパーが入る時間は決まっており、公的給付である介護報酬はその時間内でしか出ないからである。

しかし、時間が決まっているから、ケアの範囲が決まっているからといって、その範囲内でしか支援をしないということになると、不十分な介護になってしまうこともある。

 

ヘルパーは家政婦ではない、とよく言われる。利用者さん本人の食事を作るのはヘルパーの仕事だが、家族の食事は範囲外である。しかし、ご本人と家族が同じ献立を食べる場合は、そんなことは言っていられない。

 

利用者さんや家族と連絡先を交換するのは、おつかいや外出支援のときに連絡を取り合って、支援を円滑に行うためである。

また、定められた計画外で臨時にヘルパーに入ってもらう必要が出た場合、介護事業所やケアマネジャーを通さずに、利用者さんからヘルパーに直に依頼することもある。

もちろん最終的な決定はケアマネジャーと介護事業所が行うが、緊急であったり、ただ単にその方が早いからという理由で、このようなことが行われるのである。

 

利用者さんや家族と直に繋がってる場合は、利用者さんと家族との距離の取り方に注意が必要である。

勤務時間外に仕事の連絡を取り合うのは、ヘルパーに限らず他の職種でもある訳だが、勤務時間内の仕事とは別物ととらえるべきである。やむを得ず、善意で行われているものであり、当然のことではないということである。

介護という仕事は24時間365日続くもので、勤務時間をきっちり守ることは難しい側面もある。しかし、ヘルパーも人間であり、適切な休息を必要としている。仕事を完全に忘れる時間がなければ、仕事を続けることはできないだろう。

そして、専門職としてのアイデンティティを守るためにも、勤務時間と業務の範囲はきちんと定めておいた方がよい。

 

とはいえ、ヘルパーの仕事の喜びは、利用者さんとプライベートな関わりをもつことの中にあったりもする。

一緒にお出かけしたり(もちろん担当時間内で)、お互いの好きなものについて語り合ったり。

それはケアプランには定められていないものだが、ケアをよりよくするために、あった方がいいことでもある。

家族で友人でもないが、家族や友人のような他人、というあり方がいいのかもしれない。

 

※言葉の定義について

ホームヘルパー介護保険法における正式名称は「訪問介護員」。介護職の資格として、上から介護福祉士介護福祉士実務者研修(旧ヘルパー1級)、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)があるが、どの資格を持っていても訪問介護を行う者はホームヘルパー(訪問介護員)と呼ばれる。

https://www.ekaigotenshoku.com/ekaigowith/2021/02/24/helper-shikaku/